江戸が解釈した、
インドの美しさ

今から三千年以上前にインドで茜を用いて色鮮やかで堅牢な染を施す技術が開発されました。「更紗」という語はヒンディ語で最上級を意味する”sarasa”に求められ、15世紀以降の貿易の記録には極上の綿布を指すものとして登場します。インドからアフリカ大陸、東南アジアに向けて木綿府が輸出され、大航海時代(1415~1648)には、日本を含め世界各地に広がりました。
江戸時代の日本人は、媒染模様染と防染模様染の技術で色鮮やかに木綿地に染めたインドの染物とそこから派生した染め物を日本人は「更紗」と呼び、技術書が刊行され、型紙を用いて染める和更紗が相当量作られるようになりました。
神田川をはじめとする東京の水質は硬水であるため、水中に含まれている鉄分が、染め上げるまでに化学反応をおこし、色が少し渋めのもこっくりとした色は、江戸更紗独特の「侘」落ちついた味わい「寂」枯れた渋味の入った色が出来上がります。遠い昔に考えられた文様なのに現代の人々の心もつかむ更紗文様は、矛盾しているようですが永遠のモダンともいえるかも知れません。

PROCESS

  • 染料の調整

    染料は、染め上がりのできを左右する大事なものです。試験染めをしながら慎重に作ります。

  • 型摺り

    長板に白生地を貼り、その上に型紙をのせ、ヘラで糊(目色糊)を置いていきます。型紙の彫り抜かれた部分だけが染め出され、生地に柄が染められていきます。

  • 蒸し

    地色糊が乾かないうちに蒸箱に入れ、摂氏90-100度で、15-30分ほど蒸します。糊の中に入っている染料を生地に定着させるため行うもので、蒸し加減は調整します。

  • 水洗い

    蒸しあがった生地は、糊や余分な染料を落とすために、水洗いします。昭和38年までは前を流れる神田川で洗っていましたが、現在は地下水をくみあげ、水を噴射する糊落とし機を使用します。

  • 乾燥

    水洗いされた生地を、貼って乾燥させ、湯のしで幅を整えます。